レンブラントの誕生日にレンブラントを
さて。
本日は横浜で旧友お二人とお茶&ランチを楽しんでから
名古屋へ移動して参りました。
名古屋にて名古屋駅から離れたのはお初です。
新幹線の中で豊田市美術館と名古屋市美術館、
どちらから攻めるか考えていたのですが、
豊田市美術館は金曜日も普段通り17時最終入場17時30分閉館。
これに対して名古屋市美術館は金曜日は20時まで開館。
気がつけば宿泊ホテルから名古屋市美術館は
徒歩圏内ということもあり、今日は名古屋市美術館で
レンブラントに会いに行くことに。
美術館で入場したらポストカードのプレゼントがあり
「今日はレンブラントの誕生日なのでプレゼントです」
と、言われて「あ!!!そーですね!!!忘れてました!」
と返事しながらポストカードを頂戴いたしました。
いえ、あの、私は別に普段からレンブラントの誕生日を
気に留めていたわけではないのです。
ただ、今回東京滞在を当初今日まで延ばしていたのには
友人と会う以外の目的がありまして。
それは学生時代に大変お世話になった美術史の恩師の
還暦お祝いパーティー。
私は音楽史なので残念ながら正真正銘のゼミ生では
なかったものの、先生の研究室になぜかしょっちゅういました。
で、その恩師が今年還暦を迎えると、恩師の正真正銘ゼミ生だった
友人から連絡があり。
しかも、その恩師の還暦祝いをレンブラントの誕生日に
しようではないかという粋な提案があったわけです。
もっともこの企画はどうやら流れてしまったらしく、
よって私は今名古屋にいるわけなんですけれど。
まぁ、私がやたらとネーデルランド学派が好きなのは
120%この恩師の影響です。
レンブラントもフェルメールもグリューネヴァルト、ヤン・ファン・エイクも
祭壇画も、オランダの風俗画も、すべてこの恩師の影響です。
で、だから今日がレンブラントの誕生日だといわれて
あぁ、そっか!
と思ったわけですね。
そうして入った館内はかつてないほどレンブラントのエッチングが
展示されていました。
レンブラントといえば夜警や肖像画、瞳の中にある白い点とを特徴とした
油彩画がの方が先にくるけれど、
彼は銅版画の精巧さで群を抜いている人でして。
その彼のエッチングを、こんなにたくさん一度に観たのは初めてでした。
しかも、同じ、まったく同じ銅板でもって違う紙に刷ったものが
一堂に会するまたとない機会というもので、
同じ銅板で普通の紙、オートミール紙、和紙と紙を変えて
数種類刷り上げているのだけれど、紙質によって同じ銅板から
刷られた作品でもまったく趣や深み、雰囲気が違うことに
ただただ驚嘆。
普段の収蔵先を見るとレンブラントハイス@オランダ、
国立西洋美術館@日本、ナショナルギャラリーや
大英博物館@イギリスと美術館どころか国も違うところで
展示されているわけで、こうして日本の一美術館で同じテーマを
比較しながら観ることができるっていうのは稀にみるチャンスだと思う。
また、今回はなにはともあれレンブラントがテーマで
展示品の9割近くはレンブラントの作品だけだったのね。
そういう機会も個人的にはまったく初めてで、
ここで様々な作品を見ながら彼の東洋趣味を如実に実感したり、
日本語では作品タイトルが全て「エジプト逃避」で括られている
一連の聖家族をモチーフにした作品を何枚も何枚も観たり
というのは私にとって新しいレンブラントとの出会いになりました。
特に「エジプト逃避」は日本語のタイトルだけでなく
併記されている英語のタイトルもちゃんとチェックすべし、ですね。
それと、今回こうして同じ銅板で紙質の違う作品、そして
それぞれ異なる収蔵先の作品を見ていて、ロンドンの
ものはすぐにすれとわかるようになった。
だって、他の美術館とは明らかに台紙が違うのよ。
そういうわけで、今日のは「レンブラントに会って感動」
というよりは、「レンブラントのいろんな一面に出会えた日」
という感じで彼の誕生日に実にふさわしい鑑賞ができたような。
展示作品ベースでいうなれば、
大好きな彼の油彩画もいくつか展示されていはいたけれど、
絵画そのものとして見るならば個人的には
昨年大阪は天保山で観た「ポーランドの至宝展」に
出展されていた油彩画の方が好きだけれど。
今回は本当になんていうかな、好きな絵に出合ったわけではないけれど
すごく充足している感じ。
ずらっと作品が並んでいたので、いくつも見ながら私はどうやら
1650年代の彼の作品に好きなものが多いようだという
自分の中の傾向も掴んだし。
あと、展示室の殿を飾るエッチングも印象的でした。
テーマはエッケ・ホモ「見よ、この男を」という
ピラトがイエスを民衆の面前に差し出したところと
3つの十字架。
エッケ・ホモの方は民衆の描かれ方が3枚の銅板で
それぞれちょっと違う。
特に展示されていたものの3枚目は一番扇動された
目が眩んでいた民衆がほとんど画面手前におらず、
そして兵士が笑ってるんだよね。
3本の十字架の方は展示はキリスト降下直前から
キリスト磔刑後の暗黒が描かれていて、
その、展示会のテーマになっている「光と闇」の
扱い方が秀逸というか、なんというか。
すごいです。
名古屋市美術館でのレンブラント展は2011年9月4日まで。
東京を逃してしまった方はぜひ名古屋へ足を運んでみましょう。
それ相応の価値がある展示会だと思います。はい。




最近のコメント