ART-excl 音楽

2011年7月16日 (土)

レンブラントの誕生日にレンブラントを

さて。

本日は横浜で旧友お二人とお茶&ランチを楽しんでから
名古屋へ移動して参りました。

名古屋にて名古屋駅から離れたのはお初です。
新幹線の中で豊田市美術館と名古屋市美術館、
どちらから攻めるか考えていたのですが、
豊田市美術館は金曜日も普段通り17時最終入場17時30分閉館。
これに対して名古屋市美術館は金曜日は20時まで開館。

気がつけば宿泊ホテルから名古屋市美術館は
徒歩圏内ということもあり、今日は名古屋市美術館で
レンブラントに会いに行くことに。


美術館で入場したらポストカードのプレゼントがあり
「今日はレンブラントの誕生日なのでプレゼントです」
と、言われて「あ!!!そーですね!!!忘れてました!」
と返事しながらポストカードを頂戴いたしました。


いえ、あの、私は別に普段からレンブラントの誕生日を
気に留めていたわけではないのです。

ただ、今回東京滞在を当初今日まで延ばしていたのには
友人と会う以外の目的がありまして。

それは学生時代に大変お世話になった美術史の恩師の
還暦お祝いパーティー。

私は音楽史なので残念ながら正真正銘のゼミ生では
なかったものの、先生の研究室になぜかしょっちゅういました。
で、その恩師が今年還暦を迎えると、恩師の正真正銘ゼミ生だった
友人から連絡があり。
しかも、その恩師の還暦祝いをレンブラントの誕生日に
しようではないかという粋な提案があったわけです。
もっともこの企画はどうやら流れてしまったらしく、
よって私は今名古屋にいるわけなんですけれど。
まぁ、私がやたらとネーデルランド学派が好きなのは
120%この恩師の影響です。
レンブラントもフェルメールもグリューネヴァルト、ヤン・ファン・エイクも
祭壇画も、オランダの風俗画も、すべてこの恩師の影響です。


で、だから今日がレンブラントの誕生日だといわれて
あぁ、そっか!

と思ったわけですね。


そうして入った館内はかつてないほどレンブラントのエッチングが
展示されていました。


レンブラントといえば夜警や肖像画、瞳の中にある白い点とを特徴とした
油彩画がの方が先にくるけれど、
彼は銅版画の精巧さで群を抜いている人でして。

その彼のエッチングを、こんなにたくさん一度に観たのは初めてでした。
しかも、同じ、まったく同じ銅板でもって違う紙に刷ったものが
一堂に会するまたとない機会というもので、
同じ銅板で普通の紙、オートミール紙、和紙と紙を変えて
数種類刷り上げているのだけれど、紙質によって同じ銅板から
刷られた作品でもまったく趣や深み、雰囲気が違うことに
ただただ驚嘆。

普段の収蔵先を見るとレンブラントハイス@オランダ、
国立西洋美術館@日本、ナショナルギャラリーや
大英博物館@イギリスと美術館どころか国も違うところで
展示されているわけで、こうして日本の一美術館で同じテーマを
比較しながら観ることができるっていうのは稀にみるチャンスだと思う。

また、今回はなにはともあれレンブラントがテーマで
展示品の9割近くはレンブラントの作品だけだったのね。
そういう機会も個人的にはまったく初めてで、
ここで様々な作品を見ながら彼の東洋趣味を如実に実感したり、
日本語では作品タイトルが全て「エジプト逃避」で括られている
一連の聖家族をモチーフにした作品を何枚も何枚も観たり
というのは私にとって新しいレンブラントとの出会いになりました。
特に「エジプト逃避」は日本語のタイトルだけでなく
併記されている英語のタイトルもちゃんとチェックすべし、ですね。


それと、今回こうして同じ銅板で紙質の違う作品、そして
それぞれ異なる収蔵先の作品を見ていて、ロンドンの
ものはすぐにすれとわかるようになった。
だって、他の美術館とは明らかに台紙が違うのよ。


そういうわけで、今日のは「レンブラントに会って感動」
というよりは、「レンブラントのいろんな一面に出会えた日」
という感じで彼の誕生日に実にふさわしい鑑賞ができたような。

展示作品ベースでいうなれば、
大好きな彼の油彩画もいくつか展示されていはいたけれど、
絵画そのものとして見るならば個人的には
昨年大阪は天保山で観た「ポーランドの至宝展」に
出展されていた油彩画の方が好きだけれど。

今回は本当になんていうかな、好きな絵に出合ったわけではないけれど
すごく充足している感じ。

ずらっと作品が並んでいたので、いくつも見ながら私はどうやら
1650年代の彼の作品に好きなものが多いようだという
自分の中の傾向も掴んだし。

あと、展示室の殿を飾るエッチングも印象的でした。
テーマはエッケ・ホモ「見よ、この男を」という
ピラトがイエスを民衆の面前に差し出したところと
3つの十字架。

エッケ・ホモの方は民衆の描かれ方が3枚の銅板で
それぞれちょっと違う。
特に展示されていたものの3枚目は一番扇動された
目が眩んでいた民衆がほとんど画面手前におらず、
そして兵士が笑ってるんだよね。

3本の十字架の方は展示はキリスト降下直前から
キリスト磔刑後の暗黒が描かれていて、
その、展示会のテーマになっている「光と闇」の
扱い方が秀逸というか、なんというか。
すごいです。


名古屋市美術館でのレンブラント展は2011年9月4日まで。


東京を逃してしまった方はぜひ名古屋へ足を運んでみましょう。
それ相応の価値がある展示会だと思います。はい。



2010年11月11日 (木)

ギャラリー EN陶REZ (あんとれ)

と、いうわけで。

ついに音楽以外の芸術全般のカテゴリーを増やしてみました。

ART。

うん、いい言葉だ。


それはともあれ。
抜けるような秋晴れの元、先週の土曜日は神戸のギャラリー
EN陶REZさんへお邪魔してきました。

以前、このブログでCALADOというシリーズの練込陶作品の作家さん、清水真由美さんについて触れたことがあるのですが、その時はルノワール展が目的で行った美術館で、たまたま立ち寄ったミュージアムショップで一目惚れした彼女の作品を、もっと見てみたい!

という内容のことを書きました。


するとご縁があってギャラリーEN陶REZを営んでいらっしゃる
店主の廣田様より清水真由美練込陶展の案内状を頂いたのです!


こちらがそのお葉書↓
Photo_3




















最近何かと用事が多かったので、こちらも会期中に
伺えるかどうか不安だったものの、せっかく頂いたご案内、
この機会に是非とも行かねば!!!

ということで、いそいそと神戸へGO!



人生初でこういう「ギャラりー」というところへ
お邪魔させて頂きました。


2時間ドラマなどでは比較的馴染みの「ギャラリー」。
ギャラリーに行くようなリッチマン、そうそういるんかね?

と、ドラマを見ながらよく思っていた身としては
ギャラリーという場所は敷居が高く。
当然、リッチマンでもなんでもない私が
買えるかどうかもわからないのに現金も持たずに
行くのは冷やかしになるのでは?

と、些か気後れしなくもなかったのだけれど
でもせっかくの機会だし!!!!


ということで行ってみたのですが、いやぁ行ってよかった。


というか、初めてお邪魔したギャラリーが
EN陶REZさんで良かった!

と、このご縁に益々感謝してみました。



店主の廣田さんはとても素敵な方で
優しい面差しの、非常に上品な女性で、
ギャラリー初心者の私をさり気無くいろいろと
気遣ってくださり、お陰で私は非常に居心地よく
作品に触れ、作品を眺め、お話を聞かせて頂くことができました。


先日読んだ『恋するフェルメール』で著者が
その展示室の壁の配色や作品の展示のされ方で
美術館のフェルメールへの愛情がわかると書いてましたが、
清水さんの作品の展示のされ方はまさにそれで、
廣田さんの作品への愛情というか、作品をいとおしんで、
とても大切にされているのがすごくよく伝わってくる素敵な展示で。


清水さんの作品は光陽を得てますます輝くような、
光を透かして見るともっともっと作品が艷めくような、
そういうのが多いのですが。

それをとても熟知されていて、窓から差し込む陽射しの中で
作品が活きてました。

同じ「ひかり」でも、一日のうちでいろんな光の表情があって、
その時間毎に作品も違った表情を魅せるんですよと
お話してくださる廣田さんの言葉を聞きながら、
あぁ、そういえば、私も昔エセ(苦笑)ギャラリーで
版画を売っていた頃にそんな説明したなぁと思い出したり。

でもその時は窓のない室内で、人工的な太陽光を作品に当てて、
光の当たる位置によって絵の表情が変わることしか
自分の目でも確かめられなかったし、
お客様にもそれ以上のことを伝えることができなかった。


私のそれはお客様の購買意欲を煽るための演出で、
営業成績の懸かった営利目的の「作戦」だったけれど。
(もちろん、あくまで「セールストーク」とはいえ
  それなりにそれぞれの作品が好きだったのは間違いないけれど)

EN陶REZさんのは違う。

本当に作品を愛しているからこその、作品そのものを
より一層引き立たせるというか、その作品のいろんな表情を
引き出し、輝かせ、日常の中できらめくことを伝えてくれる。

鑑賞者はただ、その自然が作品と共に紡ぎ上げる
ある意味「瞬間の芸術」を愉しむ。

毎日同じように陽は差すかもしれない。
けれどもまったく同じ陽射しはないんだよね。
音楽と一緒で。



こうして愛されれて、良さを解ってもらえている作品たちと、
その作家さんはすごく幸せだろうなぁ~と。


気持ちがほっこりできる、素敵なギャラリーでした。



以前に丹波焼の焼き物を初めて自分で購入した時の
話なんかもさせて頂いたら、廣田さんからそれは
その作品が私の元へ行きたがったのよ、と仰ってくださり、
なんだか妙に納得して嬉しくなっちゃたりして。


そうか。


お嫁入りと一緒で、作品とも運命の出逢とかがあって。


赤い糸で結ばれて、私のところに来てくれたんだ、
あの時のあのマグカップ。



清水さんの作品はすごーく、すごーく、素敵で、
自分が欲しいなと思い、かつ、なんとか予算内というか
頑張れば購入できる範囲のお値段のものがいくつかあって。


よし!


購入しちゃえ!


と思ったのがいくつかありましたが、全部売約済みで、
私のところにお嫁に来てくれる作品は残念ながらなくって。


それでもなんとか別の作品を購入しようかしらと
悶々としていたら、廣田さんが優しく声をかけてくださりました。
無理して購入することはないのよ、と。
それも一つの出逢いだから、と。


そっかー。
そうか、出逢いなんだね。

今回は片思いに終わったのだけれど。

きっとまた別の機会に結ばれることもあるかなって。
それを期待しながら次にまた清水さんの作品と
出逢えるのを待てばいいんだ。


そんな素敵なギャラリーでは気がつくとなんと2時間近い長居をしてました☆


あぁ、お客様の中には一日中いらっしゃる方もいるというの、すごく肯けちゃう!


廣田さんのセンスの活きた、素敵な空間のギャラリー。
是非皆様も美術館などとはまた少し違った芸術との対面をしに、
心を潤しに足を運んでみてください~。


ということで、勝手に宣伝(笑)。


ギャラリーEN陶REZ あんとれ

〒657-0033
神戸市灘区徳井町5-4-1
URL g-entrez.jp

因みに最寄り駅はJR神戸線の六甲道駅のようですが
私は阪神線の石屋川駅から歩いて行きました~。
石屋川の流れを眺めながら川沿いの公園を歩くのも
なかなか気持よかったですよ♪